医療法人社団 楽聖会(らくせいかい)

サイトマップ個人情報保護方針お問い合わせ

新着情報

あかねヶ丘ケアセンター 認知症デイサービス

認知症コラム第11回 2010.5月掲載

前号に引き続き、3月の在宅認知症TVフォーラムから、NHKディレクター川村雄次氏の「取材を通して見えてきた認知症医療・ケア6つの課題」の講演を紹介します。課題1は、認知症の人は病識がないという常識の転換です。2番目は、今まで連載してきたような認知症の基礎知識をもつことで、「どうせ治らない」という誤まった認識がまだまだ多いのです。3番目は、見方を本人の視点にすることで、「患者メガネ」から「人メガネ」に変えると、認知症の人に対する新たしい見方に変わります。4番目は、薬の使い方で、こちらも「本人視点」の方法論に変えると、処方も変わり、支離滅裂な言動も抗精神病薬で無理に抑えこむのではなく、ケアの力も借り、緩和な薬で、しばらくの混乱状態を経て普通に会話できるようになる可能性があります。5番目は、語り合うことで、認知症について本人、家族、医療、介護、行政、メディア等さまざまな人がオープンに話し合える場をつくることです。6番目が、誰のための早期診断か?「本人のためである」が正解です。「認知症を持ちつつ良く生きる」ための支援がすぐ始まる事が不可欠で、医師は支援者の一人であり、薬は支援の道具の一つです。何のための認知症医療・ケアか?「本人と家族が認知症を持ちつつ良く生きるためのもの」と結ばれましたが、考えさせられる大変いい講演でした。

あかねヶ丘ケアセンター 認知症デイサービス

認知症コラム第10回 2010.4月掲載

アリセプトを販売している会社が、年に数回認知症のTVシンポジウムを開催してくれます。医師だけなく、介護従事者も参加する事ができ、山形にいながら最新の認知症の治療や介護について勉強ができ、楽聖会のスタッフも夜にもかかわらず人数制限をしなければいけない程、熱心に参加しています。今回は、先月行われた2つの講演のうち、首都大学の繁田雅弘先生の「臨床医の悩みと想い」の一部を紹介します。認知症の病像は、脳病変の部位と広がり、人格、性格、環境、状況要因、身体的要因などによって形成されます。認知症の人に対して、もうダメだと絶望し何もやらせない態度と、できるはずだと勝手に希望をもち、出来ないことをやらせようとする態度の両極端はダメで、できることはやってもらう、できないことはさせないが基本となります。以下次号に続きます。

あかねヶ丘ケアセンター 認知症デイサービス

認知症コラム第9回 2010.3月掲載

前回は岩手医大、高橋智准教授らがまとめられたテキストから引用させて頂きましたが、今月もその中から「やすおじいちゃん物語」を紹介します。あるところに、物忘れが始まったやすおじいちゃんが家族に囲まれて暮らしていました。万年筆を客間に置き忘れて、自分の部屋の万年筆がないと怒って探しています。仕事から帰ったお父さんと孫の健太君、またいつもの物忘れかと思いましたが、「一緒に探そう!」と優しい言葉をかけて、一緒に探してあげました。おじいちゃんは万年筆を探していた事も忘れ、何をしたかは忘れてしまったけど、心の中に残ったのは…。困った時に優しく助けてくれる人という優しくて温かい感情です。このようなケアの中で6ヶ月後、物忘れは進みましたが、やすおじいちゃんはみんなと楽しく暮らしています。これに対し、「何言ってんの、いつもの物忘れじゃないか。俺だって忙しいんだ。」とイライラしたお父さんが1分間怒鳴っていきました。それを聞いたおじいちゃん「そうかまちがっとったか!息子に迷惑をかけないように気をつけよう!」とはなりません。何を言われたかは忘れたけど、おじいちゃんの心の中に残ったのは「ワシが困って助けを求めても、怒って返す怖い人」という不快な感情です。このようなケアの繰り返しで、息子を見た時にこの人は怖い人という感情が残り、息子が介護で手を出そうとすると、殴りかかって、介護への抵抗や暴力が始まり、「あんな怖い家には居たくない」と、やすおじいちゃんは町を徘徊するようになってしまいました。このように、感情的なしこりは強く残るので、BPSDの対応には、ご家族や介護者の温かな対応が重要です。

あかねヶ丘ケアセンター 認知症デイサービス

認知症コラム第8回 2010.2月掲載

認知症の周辺症状(BPSD)は、怒りっぽい、暴力をふるうといった症状であり、生き残っている脳が暴れているために起こる症状と考えられ、みられない患者さんもおり、病気の進行と関係なく起こります。大きく、行動症状と心理症状に分類されます。行動症状としては、攻撃性(暴行・暴言)、叫声、拒絶、活動障害(徘徊、常道行動、不適切な行動)、食行動の異常(異食、過食、拒食)などがあり、心理症状としては、妄想(物盗られ、被害、嫉妬など)、幻覚(幻視、幻聴など)、誤認(ここは自分の家ではない、配偶者が偽者であるなど)、感情面の障害(抑うつ、不安、焦燥、興奮、アパシーなど)、睡眠覚醒障害(不眠、レム睡眠、行動異常)などがあります。介護者が実際に困っているのは、記憶障害などの中核症状よりも、これら周辺症状であることが多いのですが、適切なケアと治療によってある程度コントロールする事が可能なので、周辺に押しやることができる症状という意味でもあります。私ども楽聖会では、薬物療法を主に理事長が担ったり指導し、実際のケアを現場のスッタフが一生懸命担っています。

あかねヶ丘ケアセンター 認知症デイサービス

認知症コラム第7回 2009.12月掲載

認知症の治療は、薬物療法だけでなく回想法や音楽療法などの非薬物療法や適切な介護・ケアなどのバランスの良い組み合わせが大切になります。認知症は、記憶や学習に関与するといわれるアセチルコリンの脳内の量が減る事で発症すると考えられています。アセチルコリンを増やす治療薬として、アリセプトが10年前より使う事ができるようになりました。但し、中核症状である認知機能障害を治す事はできず、進行を遅らせる効果です。何度も尋ねる事が減ったり、意欲がでて簡単な家事や趣味を再びするようになったりしますが、効果には個人差があり中断すると効果が失われるので飲み続ける事が大切です。また、認知症が進行し入浴や着衣、トイレなどで常に介護が必要となる高度の状態に対して、従来の5mgから10mgまで使えるようになり有効な場合があります。

あかねヶ丘ケアセンター 認知症デイサービス

認知症コラム第6回 2009.11月掲載

認知症症状には、認知機能の障害である中核症状と周辺症状があります。中核症状は、覚えられない、判断できない等のそれぞれの役割を果たす脳機能の障害であり、全ての患者さんにみられ、病気が進むと症状も進みます。周辺症状は、怒りっぽい、暴力をふるうなど生き残っている脳が暴れているために怒る症状で、環境や人間関係などが関係する反応性の症状であり、病気の進行と関係なく起き、みられない患者さんもいます。介護する人が実際に困るのは、周辺症状であることが多く、以前は問題行動と呼ばれていました。しかし、決して周辺症状ではないよねという声を反映して、認知症の行動、心理症状(BPSD)と呼ばれるようになりました。

あかねヶ丘ケアセンター 認知症デイサービス

認知症コラム第5回 2009.10月掲載

認知症の半分以上はアルツハイマー病によって起こると言われています。アルツハイマー病は40代や50代に発症する事もありますが、大部分は高齢者になる程多く発症します。この病気の原因はまだ完全に解明されていないので、根本的な治療は残念ながらまだありませんが、病気の成り立ちにかかわるいくつかのポイントがわかってきました。患者さんの脳では、神経細胞が急激に壊れて萎縮してきます。特に知的活動に関係する大脳皮質と記憶の中枢である海馬に著しく見られます。このため、中核症状と言われる、物忘れ、判断力の低下がみられ、日常生活に支障をきたすようになります。ベーターアミロイド等の特殊な蛋白が脳細胞にたまってくることが関係しているようです。これを分解したり、沈着を予防する薬の開発が進められています。

あかねヶ丘ケアセンター 認知症デイサービス

認知症コラム第4回 2009.9月掲載

4回目は、認知症のテーマから少し外れますが、関連することを書きます。以前からファンである玉村杜富男さんが集英社新書、「今日より良い明日はない」を出版しました。長野県で農場、ワイナリー、レストランを経営し、著作や画家、テレビ出演等でも有名な方ですのでご存知の方も多いと思います。この本より引用します。「子供の成長は、すなわち老化でもあります。生れ落ちたその瞬間から、人間は死に向かって一歩一歩進んでいくのですから。その意味では、老化も成長である、と言えるでしょう。少なくとも成長の続きである事は確かです。誕生から死に至るまでの一直線の老化の過程を、ある年齢までは生長または成長と呼び、ある年齢から老化と呼ぶ、ただそれだけの話しですから、どこまでを成長といい、どこからを老化と呼ぶかは自分で決めればいいのです。今日より良い明日を求めるから人は思い煩うのです。より良い明日を、より豊かな暮らしをという、際限のない欲望が人を苦しめます。アンチエイジング(老化防止)より大切なのはエイジング(熟成)です。」そうです。私は、体の老化だけでなく認知症も脳の老化の究極の姿ですから熟成の一種と思えば、そう怖がる必要はないと考えます。見事に熟成しましょう。

あかねヶ丘ケアセンター 認知症デイサービス

認知症コラム第3回 2009.8月掲載

認知症は「後天的な脳機能障害により、日常生活や社会生活に支障のある状態」を言います。物忘れ(記憶障害)があるとすぐ認知症ではと心配しすぎる方がいますが、同年代の人と比べて明らかに劣っているかが問題であり、若い時より記憶力が衰えるのは当然の事です。物忘れが多くなり、見覚えのある女優の名前が思い出せなかったり、たまに会う人の名前が出てこなくて焦ったりするのは、私も時々あります。(ちなみに56歳です。)
 頻繁に会っている人や自分の子供の名前を思いだせないのが、病的な物忘れです。また物忘れ以外に、日時や場所が分からなくなったり(失見当)、服が上手く着られなくなったり(失行)、料理を作れなくなったり(実行機能障害)、娘の顔を見ても誰だか分からなくなったり(失認)、いずれかのもう一つの認知機能障害があると認知症と診断されるのです。

あかねヶ丘ケアセンター 認知症デイサービス

認知症コラム第2回 2009.7月掲載

私が学生だった1970代、日本ではアルツハイマー病よりも脳血管性痴呆が圧倒的に多く、特に前者は発症すると急速に進行し、何もかもわからなくなり廃人となり数年間で死亡すると恐れられていました。興味を持つ医師も少なく治療法もなく恥ずかしい病気と、隠したり諦められていました。レーガン元大統領がアルツハイマー病になった事を告白したり痴呆が認知症と呼称変更され、年をとれば誰でもなりうる病気であり、原因究明や薬物療法も進歩してきており、2000年からは介護保険制度も始まり、グループホームやデイサービスも利用できるようになりました。

スペシャルコンテンツ

お知らせ

  • 介護:023-647-6630
  • 医療:023-681-6226
お問い合わせフォーム