認知症対応型通所介護 お花見
皆様こんばんは。
本日は近所の公園に散歩がてらお花見に行って参りました。
快晴の空に満開の桜がとても綺麗でした。
昨今「認知症」は、よく耳にする誰でも知っている病名です。しかし、正しい理解をしている人は残念ながら少ないのが現状です。
言葉ひとつとっても、「認知症」のことを「ニンチ」と呼び、「ニンチがあって!」とか「ニンチがひどくなって」と言ったり、「認知症の症状」を「認知症状」と言ったり、正しくない言葉を使われる方が非常に多くいると感じています。これは間違った言葉を専門職である介護士や看護師、介護支援専門員等が使用することによって広まったと言われています。
今後、少なくとも私たち専門職は、正しい言葉を使用するべきだと考えます。
正しい理解は、正しい言葉を使うところから始まると思いませんか?
皆さんの回りに間違った言葉を使う人がいたら、是非教えてあげてください。
レミ二―ルは、剤形としては内用液もありますので、みそ汁、ジュース等にも入れて服用させることもできます。アリセプトを10㎎まで服用しても余り変わらないというので、レミ二―ルに変更したら、意欲が向上し身の回りへの関心が増えた人を経験しました。リバスタッチとイクセロンパッチはアリセプトやレミ二ールで吐き気、下痢等の副作用が出現し中止せざるをえなかった人や、病識がなく服薬を拒否する方でも貼り薬ですので使いやすいと思います。メマリーは、今までの薬と作用機序が違い、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬と併用も可能で、特に周辺症状の興奮、攻撃性をやわらげる作用があり、当法人グループホームの入居者の多くの方にも服用してもらっています。アリセプトも含め効果には個人差が大きいため、選択肢が広がったことで自分に合う薬を服用しやすくなりました。以上が以前の連載です。
アリセプト以外の認知症治療薬3種類が使えるようになり2年を経過しましたので、私の使用経験を追記します。リバスチグミンパッチ(リバスタッチ,イクセロン)は、アリセプトと同様にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬であり、貼るアリセプトのイメージで効果は同様と思っていました。保険適応も軽度、中等度だけですが、ブチリルコリンエステラーゼ阻害作用も併せもつためか、アリセプト10㎎の長期投与でも、意欲、活動性が低下し口数も少なくなった人が、おしゃれしたり、口数が増えたり食べられるようになったりする例を多く経験するようになっています。NMDA受容体拮抗薬であるメマリーは、興奮、攻撃性の目立つ症例に特に有効であり、副作用も少なく使いやすく抗精神病薬の使用も減り、過鎮静や転倒も減らせています。また、作用機序が違うため3種類のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬との併用が可能であり、単独使用よりも併用の方が有効性が高いという報告も多くなっています。還暦になったので、今後はできなかった海外旅行などをして、仕事を減らしていこうと考えていたのですが、認知症医療デイケア「らくせい」を始めたために、当分あまり休めなくなりそうで、自分で自分の首をしめているきらいもありますが、もう10年位バランスを取りながら「どんとこい!認知症」、「認知症でも安心して暮せる社会」をめざし微力ながら努力してまいりたいと思います。会員の皆様のご指導、ご支援の程どうぞ宜しくお願い致します。
以前に書きましたが、認知症の治療薬というものの、アルツハイマー病の原因とされるベータ・アミロイドの沈着を予防したり除去できるのではなく、認知症の記憶障害を一時的に改善したり、意欲や活動性を高めたりするもので、根本的治療薬はまだ開発されておりません。今年になって、レミニール、リバスタッチおよびイクセロン、メマリーの3種類の治療薬が日本でもやっと使えるようになり、世界と同じレベルに達しました。レミニール、リバスタッチおよびイクセロンは、アリセプトと同様に「アセチルコリンエステラーゼ阻害薬」ですが、後者は貼布薬(パッチ剤)です。メマリーは「NMDA受容体拮抗作用」という新しい作用秩序を持ち、神経細胞を保護する役割もあります。今まではアリセプトしか使えず、半数近くの方は効果がみられないことが多かったので、治療の選択肢が広がったのは喜ばしいことです。次回にもう少し詳しく説明します。
精神科医の小澤勲さんは、岩波新書「認知症とは何か」の中で、「周辺症状とは認知症を病み、中核症状がもたらす不自由をかかえて、暮らしの中で困惑し、行きつ戻りつしながら辿り着いた結果である」「周辺症状はケアで治る」と述べています。家族のケアの在り方が周辺症状を良くも悪くもするのです。家族が、認知症の人の行動や性格に対して好ましくないとする言動が、興奮、暴力、徘徊等の周辺症状をさらに悪化させてしまうのです。これに対し、上記のように考えて冷静に対処し暖かく受け止めると、刺激に対する反応ですから、悪化を防ぎ治す事も可能なのです。第9回目に書きました「やすおじいちゃんの物語」の通りなのです。認知症コラムをこの第12回で終了とさせて頂きます。ご愛読ありがとうございました。ご意見、ご質問はスタッフまでお寄せ下さい
前号に引き続き、3月の在宅認知症TVフォーラムから、NHKディレクター川村雄次氏の「取材を通して見えてきた認知症医療・ケア6つの課題」の講演を紹介します。課題1は、認知症の人は病識がないという常識の転換です。2番目は、今まで連載してきたような認知症の基礎知識をもつことで、「どうせ治らない」という誤まった認識がまだまだ多いのです。3番目は、見方を本人の視点にすることで、「患者メガネ」から「人メガネ」に変えると、認知症の人に対する新たしい見方に変わります。4番目は、薬の使い方で、こちらも「本人視点」の方法論に変えると、処方も変わり、支離滅裂な言動も抗精神病薬で無理に抑えこむのではなく、ケアの力も借り、緩和な薬で、しばらくの混乱状態を経て普通に会話できるようになる可能性があります。5番目は、語り合うことで、認知症について本人、家族、医療、介護、行政、メディア等さまざまな人がオープンに話し合える場をつくることです。6番目が、誰のための早期診断か?「本人のためである」が正解です。「認知症を持ちつつ良く生きる」ための支援がすぐ始まる事が不可欠で、医師は支援者の一人であり、薬は支援の道具の一つです。何のための認知症医療・ケアか?「本人と家族が認知症を持ちつつ良く生きるためのもの」と結ばれましたが、考えさせられる大変いい講演でした。
アリセプトを販売している会社が、年に数回認知症のTVシンポジウムを開催してくれます。医師だけなく、介護従事者も参加する事ができ、山形にいながら最新の認知症の治療や介護について勉強ができ、楽聖会のスタッフも夜にもかかわらず人数制限をしなければいけない程、熱心に参加しています。今回は、先月行われた2つの講演のうち、首都大学の繁田雅弘先生の「臨床医の悩みと想い」の一部を紹介します。認知症の病像は、脳病変の部位と広がり、人格、性格、環境、状況要因、身体的要因などによって形成されます。認知症の人に対して、もうダメだと絶望し何もやらせない態度と、できるはずだと勝手に希望をもち、出来ないことをやらせようとする態度の両極端はダメで、できることはやってもらう、できないことはさせないが基本となります。以下次号に続きます。
前回は岩手医大、高橋智准教授らがまとめられたテキストから引用させて頂きましたが、今月もその中から「やすおじいちゃん物語」を紹介します。あるところに、物忘れが始まったやすおじいちゃんが家族に囲まれて暮らしていました。万年筆を客間に置き忘れて、自分の部屋の万年筆がないと怒って探しています。仕事から帰ったお父さんと孫の健太君、またいつもの物忘れかと思いましたが、「一緒に探そう!」と優しい言葉をかけて、一緒に探してあげました。おじいちゃんは万年筆を探していた事も忘れ、何をしたかは忘れてしまったけど、心の中に残ったのは…。困った時に優しく助けてくれる人という優しくて温かい感情です。このようなケアの中で6ヶ月後、物忘れは進みましたが、やすおじいちゃんはみんなと楽しく暮らしています。これに対し、「何言ってんの、いつもの物忘れじゃないか。俺だって忙しいんだ。」とイライラしたお父さんが1分間怒鳴っていきました。それを聞いたおじいちゃん「そうかまちがっとったか!息子に迷惑をかけないように気をつけよう!」とはなりません。何を言われたかは忘れたけど、おじいちゃんの心の中に残ったのは「ワシが困って助けを求めても、怒って返す怖い人」という不快な感情です。このようなケアの繰り返しで、息子を見た時にこの人は怖い人という感情が残り、息子が介護で手を出そうとすると、殴りかかって、介護への抵抗や暴力が始まり、「あんな怖い家には居たくない」と、やすおじいちゃんは町を徘徊するようになってしまいました。このように、感情的なしこりは強く残るので、BPSDの対応には、ご家族や介護者の温かな対応が重要です。